■公的保険と私的保険の違い
「保険」と名のつくものには、雇用保険や労災保険、健康保険・介護保険や厚生年金保険の他、火災保険や自動車保険、生命保険などがあります。
このうち雇用保険、労災保険、健康保険・介護保険、厚生年金保険は国が運用しています。
火災保険、自動車保険、生命保険などは損害保険会社や生命保険会社といった民間の会社が運営しています。
国が運営している保険を「公的保険」、損害保険会社や生命保険会社の民間企業が運営している保険を「私的保険」といいます。
■私的保険の加入は自由
私的保険である損害保険や生命保険は、「任意加入」となっており、加入して保険料を納めていれば災難に出会ったとき保険金を受け取ることができます。
生活資金に余裕のある人は、保険に入ることができますが、余裕の無い人は保険に入ることができず何の補償もありません。
そこで民間の私的保険だけに任せず、国が運用する社会保険制度としての公的保険が必要となるのです。
■公的保険は強制加入です
「公的保険」は本人の意思にかかわらず、必ず加入しなければなりません(強制加入)。
国が運営する公的保険を「社会保険」といい、国民生活の根幹をなす国民同士の助け合いの制度です。
■日本の社会保険
|
|
一般の
サラリーマン OL |
船員等
|
公務員・
教職員等
|
主婦・
自営業者等
|
日雇労働者等 |
| 1 |
健康保険 (医療)
|
○
|
|
|
|
○
|
| 2 |
厚生年金保険
(年金)
|
○
|
○
|
|
|
|
| 3 |
雇用保険 (失業等)
|
○
|
|
|
|
○
|
| 4 |
労災保険 (労災)
|
○
|
|
|
|
○
|
| 5 |
介護保険 (介護)
|
○
|
○
|
○
|
○
|
○
|
| 6 |
国民年金 (年金)
|
△
|
○
|
○
|
○
|
○
|
| 7 |
船員保険
(医療・失業等・労災)
|
|
○
|
|
|
|
| 8 |
国家公務員等共済
(医療・年金)
|
|
|
○
|
|
|
| 9 |
地方公務員共済
(医療・年金)
|
|
|
○
|
|
|
| 10 |
私立学校教職員共済
(医療・年金)
|
|
|
○
|
|
|
| 11 |
.国民健康保険
(医療)
|
|
|
○
|
○
|
|
| 12 |
老人保健 (医療)
|
△
|
△
|
△
|
△
|
△
|
■職域保険としての社会保険
この12種類の社会保険は、本人が自由に選んで入るというわけではありません。本人の意思にかかわりなく、その人がどういう仕事に就くかによって自動的に決まります。
会社勤めのサラリーマンやOLなら雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険。公務員・教職員なら共済組合。自営業者であれば国民健康保険、国民年金。船員なら船員保険。
主婦ならば国民年金などというように決まっています。
このようにして国民の一人ひとりが、いずれかの保険に加入することになります。
よって、日本では「国民皆保険」といわれており、この制度は昭和36年に実現されました。
このように、わが国の社会保険は、その人の就いている仕事によって加入する保険が決まってくることから、「職域保険」という性格を持っています。
ただ、職域保険のひずみが、世の中の移り変わりの中で現れてきたため、昭和61年に年金制度の改革が行われました。
基礎年金制度(国民年金)の導入によって、会社勤めの人も公務員・教職員も、また、船員なども国民年金に加入することになりました。すなわち国民年金が職域にとわられない、すべての国民に共通となるように改められたのです。
■被用者保険(雇用されている人の保険)としての社会保険
社会保険とは、広義の意味では労働者災害補償保険(労災)および雇用保険、厚生年金保険、健康保険、介護保険のことをいいます。
狭義の意味では、労働保険(労働者災害補償保険と雇用保険)と社会保険(厚生年金保険と健康保険、介護保険)に分けることができます。

| 制度名 |
概 要 |
|
労働者災害補償保険
|
労働者が「業務上の災害」や「通勤による災害」を受けた場合に、必要な保険給付を行うものです。
|
|
雇用保険
|
労働者が失業した場合、基本手当(失業保険等)を支払います。また、事業主に支給される助成金や、労働者に支給される雇用継続の給付もあります。
|
|
厚生年金保険
|
老齢、障害、死亡の場合に、国民年金の基礎年金に上乗せして、加入者に給付を行う制度です。
|
|
健康保険
|
サラリーマンとその扶養家族が業務外で「病気」「けが」「出産」「死亡」等の事故にあったときに、必要な保険給付を行う制度です。
|
■健康保険・厚生年金保険の被保険者になる人
原則として強制適用事業所で働く人は被保険者となります
株式会社や有限会社などの法人の事業所は、業種や人数に関係なく、また事業主や社員の意思に関係なく、強制的に加入しなければなりません。これを「強制適用事業所」といいます。強制適用事業所で働く人は、原則としてすべての人が被保険者となります。たとえ、社長一人であっても被保険者となります。
(注)強制適用事業所に働く人であっても被保険者になることができない人がいます。
[被保険者になれない人(適用除外者)]
1. 日々雇い入れられる人
→1月を超えて引き続き使用されるときはその日から被保険者となる
2. 2ヶ月以内の期間を定めて使用される人
→所定の期間を超えて引き続き使用されるときは
 その日から被保険者となる
3. 季節的業務(4ヶ月以内)に使用される人
→4ヶ月を超える予定で使用されるときは、当初から被保険者となる
4. 臨時的事業(6ヶ月以内)に使用される人
→6ヶ月を超える予定で使用されるときは、当初から被保険者となる
5. その他
・船員保険の被保険者
(ただし、疾病任意継続被保険者は適用除外ではない)
・所在地が一定しない事業所に使用される人
・国民健康保険組合の事業所の使用されるもの
・保険者又は共済組合の承認を受けた人
 (健康保険の被保険者でないことにより
 国民年金の被保険者であるべき期間に限る)
■介護保険は40歳以上の人が被保険者となります
介護保険の運営を行う「保険者」は市町村です。被保険者は、原則として40歳以上の人で、第1号被保険者と第2号被保険者に区分されます。
1. 第1号被保険者・・・市区町村の区域内に住所を有する65歳以上の人
2. 第2号被保険者・・・市区町村の区域内に住所を有する
40歳以上65歳未満の医療保険加入者※
※「医療保険加入者」とは、健康保険、船員保険、国民健康保険、各種共済保険の被保険者及びその被扶養者をいう。
第1号被保険者の保険料は、市町村により所得に応じ定額で定められています。
老齢年金が18万円以上の場合には、年金から天引きされ、それ以外は市町村に直接収めます。
第2号被保険者の保険料は、加入している医療保険(サラリーマンやOLは健康保険)の保険料と併せて納めることになります。
■労災保険と雇用保険の被保険者になる人
労災保険はすべての人が対象です
労災保険は、一般社員はもちろん、パートタイマーやアルバイトなど、その事業所で働く全ての人が対象となります。
労災保険には他の保険のように被保険者という概念はなく、その事業所が保険加入の手続きをしていれば、労働者全員が保険給付の対象となります。
労災保険は、あくまで「労働者」を対象としたものですから、事業主や個人タクシーの運転手、個人で営業している大工や左官などの人は、労災保険の対象となりません。しかし、これらの人もある一定の条件を満たし「特別加入者」となるときには、労災保険から給付を受けることができます。
■事業所で働く社員(たとえ一人でも)は、
雇用保険の被保険者となります
一部の農林水産業を除き、社員を一人でも使用している事業所は、雇用保険に加入しなければならず、そこで働いている人は被保険者となります。
[被保険者の種類(雇用状態によって区分)]
1. 一般被保険者(一般の社員やパートタイマー)
短時間労働被保険者以外の一般被保険者(週所定労働時間30時間以上)
短時間労働被保険者である一般被保険者(週所定労働時間20〜30時間)
2. 高年齢継続被保険者
65歳を過ぎて同一事業所に継続して雇用されている人
3. 短期雇用特例被保険者
季節的に雇用される人、短期の雇用(1年未満)に就くことを常態とする人
4. 日雇労働被保険者
日々雇い入れられる人、30日以内の期間を定めて雇用される人
■パートタイマーが被保険者となる条件
パートタイマーは、1日の働く時間が短いだけでなく、一人ひとり働く時間、日数、期間等の条件が色々と異なっています。
よって、パートタイマーの中でも、雇用条件によっては、被保険者となる場合と、ならない場合があります。
わが国の社会保険は、原則、強制加入ですから、パートタイマーについても一定の条件を満たしていれば、被保険者としなければなりません。
健康保険・厚生年金保険と雇用保険では、
加入要件の取扱いが異なっていますので、注意が必要です。
労災保険については、労働者であれば
一般社員、パートタイマー、アルバイト等の区別はなく、全て対象となります。
■パートタイマーの健康保険と厚生年金保険の加入要件
1日の労働時間が、一般社員の労働時間と比べて4分の3以上あり、かつ、1ヶ月の労働日数が一般社員の労働日数の4分の3以上あれば、健康保険と厚生年金保険の被保険者となります。
これは、1日の労働時間と1ヶ月の労働日数の2つの条件を満たしたときに被保険者になるので、1日だけとか又は1ヶ月だけの条件を満たしても被保険者となることはありません。
1. 1日の所定労働時間が、一般の社員のおおむね4分の3以上ある
2. 1月の所定労働日数が、一般の社員のおおむね4分の3以上ある
※1.2.の両方の条件を満たせば、健康保険と厚生年金保険の被保険者となります。
■パートタイマーの雇用保険の加入要件
1週間の労働時間が20時間以上あって、1年以上雇用される見込みがあるという、2つの条件を満たしたときは、雇用保険の被保険者となります。
なお、1週間の労働時間が20時間以上30時間未満のときは「短時間労働被保険者」、30時間以上のときは「一般被保険者」となります。
1. 1週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満であるとき
2. 1年以上継続して雇用される見込みであるとき
※1.2.の両方の条件を満たせば、「短時間労働被保険者」となります。
■健康保険の被扶養者となる条件
健康保険は、被保険者だけでなく、その人の家族等も保険給付を受けることができます。健康保険から保険給付を受けられる、一定の範囲の家族等を「被扶養者」といいます。被扶養者になるためには、あらかじめ届け出て、保険者に認めてもらうことが必要です。
[被扶養者の範囲]
1. 被保険者の収入により生計を維持されている人
・直系尊属(父母、祖父母等)、配偶者(事実婚を含む)、
・子、孫(ひ孫は入らない)、弟妹(兄姉は入らない)
2. 被保険者の収入により生計を維持されており、
かつ一緒に生活(同居)している人
・被保険者の3親等内の親族(おじ、おば、おい、めい、ひ孫等)
・事実上婚姻関係にある配偶者の父母及び子(祖父母、孫は入らない)
・事実上婚姻関係にある配偶者が死亡した後の父母及び子
※「生計を維持されている」とは
- 被保険者と同居の場合
年収が130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は180万円未満)、かつ、被保険者の年収の2分の1未満。
- 被保険者と別居の場合
年収が130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は180万円未満)、かつ、被保険者からの援助額より少ないこと。
|